品出しって、「空っぽになった棚に商品を補充するだけ」だと思っていませんか?
もちろん、それが基本なんですけど、地域密着型のスーパーで働いていると、だんだん見えてくる「お客様の動きのクセ」みたいなものがあるんです。これを意識できるようになると、仕事が劇的に楽になるし、社員さんからの評価も少しだけ上がったりするんですよ。(まあ、私は人間関係はドライなので、評価より自分の楽さを優先してますが(笑))
今日は、私がこの世界に飛び込んでから、数々の失敗を経て体得した、「予測補充」の考え方について、正直にお話ししたいと思います。私も最初は何もわからず、ただ言われた場所の商品をバーッと補充するだけでした。でも、それが原因で、後で大変な思いをしたこともありますからね。
焦る原因は「在庫の偏り」にある
品出しの仕事をしていると、「今、ここがスカスカだから、急いで補充しなきゃ!」と焦る瞬間が必ず訪れます。でも、考えてみてください。その「スカスカ」は、今、お客様が殺到した結果かもしれませんし、単に朝の納品量が少なかっただけかもしれません。
私が新人の頃、一番よくやったのが、「今、目の前が空いてるから埋める」という作業です。これが、後に大惨事を招く原因になったんです。
例えば、ある日の夕方、お惣菜コーナーの隣にあるスナック菓子の棚が少し空いているのを見つけました。私は「よし、今のうちに埋めておこう」と思って、いつもより多めにチーズ味のポテトチップスをドサッと補充しました。ところが、その直後、タイムセールが始まって、メインのレジに行列ができてしまい、その間に「のり塩味」を求めてくるお客様が殺到。のり塩はみるみるうちに無くなっていったのに、私が大量に補充したチーズ味は、夕方になってもほとんど動かない、という事態になりました。
結果、のり塩が品切れで謝罪POPを貼る羽目になり、その横でチーズ味だけが棚を占領するという、見事な在庫の偏りを生み出してしまいました。
この失敗から学んだのは、「空いているから補充する」のではなく、「これからどうなるかを予測して補充する」ことの重要性なんです。
お客様の「時間帯の動き」を読む
予測補充の肝は、お客様がいつ、何を買いに来るかを想像することです。これは、社員さんが発注表を見ているような専門的な話ではなく、現場で五感を研ぎ澄ませば誰でも気づけることです。
1. 朝の開店直後の動き
開店直後って、主婦層や年配の方が多いですよね。彼らは比較的時間に余裕があることが多いので、特売品や日持ちするものをじっくり選びます。
- 予測ポイント: ドリンクコーナーの「お茶」や「牛乳」は、まず特売になっているかチェックしましょう。特売なら、開店1時間でドカッと減ります。他の棚よりも少し多めに用意しておくと、開店直後の補充回数を減らせますよ。
- 私の体験: 朝早く出勤した際、特売のミネラルウォーターが棚に並びきらないほどあったのに、9時にはほとんどなくなりました。ベテランの先輩が「開店前に2段分増やしておいたのよ」と言っていたのを聞いて、なるほど、と。朝の「油断」が午後の地獄になるんです。
2. 夕方17時以降の動き(ゴールデンタイム)
ここが勝負どころです。仕事帰りの会社員や、夕食の準備を始める家族連れで一気に混雑します。彼らは「急いでいる」ことが多いので、動線上の商品、すぐに手に取れるものが選ばれやすいです。
- 予測ポイント: 惣菜、パン、そしてレジ横に配置されているお菓子やガムが激減します。特に、夕食のついでに「ついで買い」されるおつまみ系や、子供向けのお菓子は回転率が爆上がりします。
- 失敗から学んだ教訓: 以前、ビール(350ml缶)の補充を夕方に頼まれた時、私はただ裏の在庫を出して積んだだけでした。そしたら、夕食の準備時間帯に一気に無くなり、棚がガラ空きに。結局、社員さんが「今から発注間に合わないから、他店から借りてきて」とピリピリしながら動いていたのを見て、本当に申し訳ない気持ちになりました。夕方は「多めに、かつ速く」が鉄則です。
3. 天候と曜日の影響
これも無視できません。地域密着のスーパーですから、天候や曜日がダイレクトに売上に影響します。
- 雨の日: 屋内で楽しめるレトルト食品、乾麺、お菓子(特にチョコ系は溶けにくいので人気)、そして、お酒類が伸びやすい傾向があります。
- 週末(土日): 家族でのまとめ買いが増えるため、調味料や冷凍食品、特大サイズの飲料などが激しく動きます。特に冷凍食品は、棚がスカスカになると、補充が大変なので、週末前日の金曜の夕方には、少し余裕を持たせておくべきです。
「フェイスアップ」と「前後移動」の技術
予測を立てて補充する際、ただ商品を積むだけでは意味がありません。いかに「お客様にとって取りやすく、見た目も良い状態」をキープするかが、スピードアップにつながります。
フェイスアップ、つまり、商品の正面(パッケージ)を正面に向ける作業、あれをサボりがちなんですよね。私も最初は面倒で、奥に新しい商品を押し込んで終わりにしていました。
しかし、これが後々、先入れ先出しを複雑にするし、何より、お客様が「どこに何があるか」を認識しにくくするんです。
私がミスを減らすために徹底しているのは、「フェイスアップついでに前後を整理する」ことです。
- 在庫確認: まず、棚の奥まで商品がちゃんと入っているか確認します。
- 古いものを前に: 奥にある古い日付の商品を前に引き出します。
- 新しいものを奥に: 裏から持ってきた新しい商品を奥に置きます。
- 隙間を埋める: 前面をきれいに整えます(フェイスアップ)。
この作業を10秒でやれば、次に補充する時、奥に古い在庫が残っている心配がないので、焦って変な補充ミス(あの、塩とチーズを間違えた時のように…)をしにくくなります。一度の動作で、二度手間を防ぐわけですね。
大切なのは「経験値を記録する」こと
結局のところ、予測補充は、「前回、この時間帯にこの商品がどれくらい動いたか」という経験値で決まります。
最初は何もわからなくても大丈夫です。もし、あなたが「この棚の動き、なんかおかしいな?」と感じたら、スマホのメモ帳にメモしておきましょう。「水曜日の15時、特売のコーヒー牛乳が30分で空になった」とか。
私は、お酒を棚に押し込みすぎて缶を破裂させてしまった大失敗以降、特にバックヤードでの在庫管理と、店頭での商品の動きをセットで記録するようになりました。そうすると、だんだん「あの時間になったら、あの場所の在庫をチェック」というルーティンが生まれてくるんです。
この仕事は、肉体労働なのは間違いないです。私も毎日、足が痛いし、荷物を運んでアザだらけになってます。でも、一度流れを掴んで、予測が当たった時の「ああ、今日はスムーズに回れたな」という達成感は、なかなか他では味わえないものがありますよ。
焦らず、一つ一つの動きを観察してみてください。あなたもすぐに「現場のプロ」の視点が見えてくるはずです。応援しています!
